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しかし、現在では日本で唯一、熊谷市の元荒川上流にしか生息していません。
環境汚染などの様々な要因により、熊谷にしか生息が確認されず、絶滅の危機に瀕しました。
そこで市民グループ「熊谷市ムサシトミヨをまもる会」が結成され、川の清掃などの保護活動を行ってきました。
埼玉の「県の魚」にも指定されているムサシトミヨは、平成17年度の調査結果から、現在は約15,000匹が棲んでいると推定されています。
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■ムサシトミヨの一生 |
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生まれたばかりのムサシトミヨの稚魚は、水草の中に身を潜めプランクトンなどを食べて育ちます。
半年ほどで体長が3cm程になり、ミズムシ・ユスリカの幼虫・イトミミズなど、
水中にいる微生物を活発に動き回って捕食するようになります。
産卵は1月から9月といわれていますが、最も多いのは5月下旬から6月の初旬。
水草の茎に水草やアオミドロ等をかためて直径3cmほどでピンポン玉のような巣をオスが作ります。
オスは巣が出来上がると、メスを誘い産卵させ卵がふ化するまで、巣を守ります。卵の大きさは1mmほど。
また、この時新鮮な水を巣の中に送り込むのも大きな仕事です。
オスは稚魚が巣立つと、多くの場合力尽きて死んでしまうようです。 |
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■ムサシトミヨの仲間 |
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ムサシトミヨは、トゲウオ科イトヨ属に分類されます。
トゲウオ科の魚は、北半球の亜寒帯を中心に分布し、世界に十数種類しかいない魚です。
祖先は海で暮らしていたと考えられていますが、現在では多くの種が淡水域に生息しています。
北海道・東北・日本海地方では、川で産卵して海に降りて成長するイトヨや、
一生を淡水で過ごすイバラトミヨなどが見られますが、それより南の地域ではトゲウオ科の魚は少ないようです。
ムサシトミヨは、東京都と埼玉県を中心に生息していたようで、
第二次世界大戦前には井の頭池・善福寺池・神田川・石神井川・熊谷・本庄・川越など、
荒川、多摩川系湧水に生息していたことがわかっています。 |
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